「船長、向こうに大きくてきれいな看板が見えます。」
「うむ。わたしも気が付いた。」
「船長、行って調査しましょう。」
「よし。行ってみよう。」
「船長、大きな交差点がありますね。」
「ちょっとまて。この地球辞典で調べてから渡ろう。」
「船長、何て書いてありますか。」
「交差点を渡る時には人の歩くイラストの信号が青く光ってから渡
るように、とある。」
「あ、あの向こうにあるのがそうですね。」
「うむ。あれが青になったら渡るんだ。」
「あ、言ってるうちに青くなりました。」
「まてまて、まだ書いてある。」
「船長、はやく渡りましょうって。」
「横断歩道を渡る時には、右ひだりの車に注意すること。」
「左右の車に気を付けるんですね。」
「まだある・・後ろから来た車が曲がる時に巻き込まれないように。」
「難しいですね。渡るのって・・・あ、船長、あの信号が点滅して
ます・・・あれは・・・?」
「信号が点滅し始めたら、渡ってはいけません・・・とある。」
「え〜。だから船長、はやく渡らないから、行けなくなっちゃったじゃ
ないですか。」
「だいじょうぶ。すぐに変わるから、待っていよう。」
「船長。」
「ん?」
「緊張しますね。」
「そうだな。」
「あ、船長、青に変わりました。」
「よし、渡ろう。左右の車に注意して・・・。」
「後ろからの車にも注意して・・・・。」
「なるほど、この白い太い線が横断歩道と呼ぶらしい。」
「船長、はやくしないと、ほ、ほら、点滅しちゃいました。」
「まて、おい、どこへ行く。」
「はあ、はあ、だって点滅の時には渡っちゃだめなんでしょ。」
「だからと言って、戻ってはいかん。」
「あ〜、船長と離ればなれになっちゃった〜。」
「お〜い。聞こえるか〜。」
「車の音で、よく聞こえません〜。」
「おまえだけ戻ってしまっては、離ればなれになっちゃうでしょ。」
「船長〜〜〜。」
「なんだ〜。」
「さびしいです〜〜〜。」
「何か欲しいのか〜〜。」
「せ、船長がほしいです〜。」
「そうか〜。」
「はやくそっちに行きたいです〜〜〜。」
「青になるまで待て〜〜〜〜。」
「船長〜〜〜〜。」
「なんだ〜〜〜。」
「こんなに時間が長く感じるのは、始めてです〜〜。」
「泣くな〜〜〜〜。みんなが変に見てるぞ〜〜〜。」
「え〜〜〜〜ん。」
「お〜い。泣いてないで。青だぞ〜〜〜。」
「はあ、はあ、せ、船長。」
「そんなに泣くでない。」
「だって、船長と離ればなれに・・・・。」
「戻るからだ。」
「だって、点滅したんです。」
「もう、わかったから、気を落ち着けて。」
「船長。」
「ん、」
「また船長に会えて、うれしいです。」
「わかったから、これで泪を拭いて・・・・。」
「はい、・・・・・船長・・・・・。」
「ん?」
「これって、船長のブリーフです。」
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