「そして、その宝物は、あった。
私には、以前からずっと気になっていたおじいちゃんの形見が
あった。
それは、おじいちゃんがとても大切にしていた、小さなオル
ゴールの箱であった。男なのにオルゴールなんて、なんとおセン
チなおじいちゃんだとは思っていたが、あのなくなる数ヶ月前の
言葉・・・・「これには秘密が隠されておるが、秘密は秘密じゃ
からけっして、あばくではないぞ。」と言ってぼくにくれた、す
こし汚れた感じのオルゴール。
私は、たまには自分の部屋の掃除をしようと思い、机の引き出
しまでさかさにしていた時に、その秘密のオルゴールがころげ落
ちた。すると、オルゴールは静かに、それも止まりそうな小さな
音楽を奏でながら、裏の蓋が開いてしまった。
そこには黄色く変色した一枚の紙が入っていた。
「家の裏の柿の木から真北に向かい敷地の境の3歩手前。」
そう紙に書いてあった。そしていつしか止まりそうなオルゴール
の音楽は聞こえなくなっていた。
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